その3では、かつての「山陰道」の国々、丹波(たんば)、丹後(たんご)、但馬(たじま)の一宮をご紹介します。
丹波国一宮 出雲大神宮
出雲大神宮は、京都府亀岡市に鎮座。
丹波国というのは、京の都の北西、山陰方面の入口にあたります。
山陰で最大の存在感を誇るのは、なんといっても出雲大社(出雲国/島根県)です。
その出雲の神を祀る神社が、京を出てさっそく一宮として登場してくるわけです。
神社名が「出雲」で、出雲大社と同じくオオクニヌシが主祭神。
山陰への入口にふさわしい配置といえるかもしれません。
ということで、出雲大社の系列ということもあり、お目当てのご利益はやはり縁結びなのでしょうか。
比較的若い女性グループの参拝客を多く目にしました。
新緑が映える季節です。
ところで、「徒然草」にこの神社の獅子・狛犬の話があります。
都から訪れた偉い人が、獅子・狛犬が互いに逆向きに置かれているのをみて、「あなめでたや。この獅子の立ち様、いとめづらし。深き故あらん。」と、同行の人たちとも感激して、神社の人に尋ねてみたところ、子供たちのいたずらですよといいながら、あっさり向きを直されてしまったので、「感涙いたづらになりにけり(無駄になってしまった)」という話です。
昔に教科書で見たことのある話です。
偉い人の勘違いや早とちり、あるいは勝手な決めつけを皮肉った話という位置づけで当時は整理されていた記憶がありますが、今思えば、何にでも感動を見つけるのは大切なことだとも思います。
今はむしろ、この人を支持したい気持ちもありますね。
ちなみに、その時代の獅子・狛犬はもっと小さくて動かせるようなものだったそうです。
なお、社伝によると、いまの出雲大社の方がこの出雲大神宮から勧請を受けたとしており、こちらは「元出雲」の通称があるとのこと。
(2011年4月撮影)